釈尊の生誕と出家(5)
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☆「死」の苦しみ ふさぎ込む太子を心配した父王は、太子の気分を変えさせようとして、 あれこれ試みましたが無駄でした。 そこで、父王は太子を三度外出させることにします。 しかも、今度は人々に命じて太子の通る道を警備し、 通りに立つ人も厳しく選び分けたのです。 父王もさすがに神々の成す業にはおてあげというところです。 神々は太子の心の内をお見通し! 太子が三度目に西の門から外出したとき、父王の厳しい命令も神々には効力がなく、 太子の出家を望む神々は、ひとりの死者を太子に見せたのです。 死んだばかりの男の葬列に出くわしました。 「御者よ、あれは何の行列なのか?」 「太子様、あれは死んだ人を送る行列です。 葬式を終えて、別れの場所に向かっているのです」 「誰にでも死はあるのか?」 「すべての者が死んでいくのです」 太子は愕然としてしまってふさぎ込み、またも王宮に帰ってしまいました。 王宮に帰った太子は、美しい女性たちの歌や舞にはもはやいささかも 心を動かされることがなくなったのです。 「老い、病み、死ぬ」という人間の根源的な悩みは考えるほど、 太子の心の中ではどうにもならなくなってしまいました。 この説話は神々のしくんだものだった! そんな風に考えてもいいのかもしれません。 ☆三つの驕り さて、四度目の外出のとき、王宮の北の門から出かけた太子は、 ひとりの修行者が歩いている姿を見つけました。 涼やかに、気高く、神々しく歩く姿に心を打たれました。 「この修行者の姿にこそ、真実の人生があるのではないか?」 太子は深い感動を覚えると、例によって王宮に帰ってまたもや思索。 そして人生の根源的な苦しみを目の当たりにして思索を深めていきました。 「今の自分には老いは関係ないかのように思うが、 誰も老いを免れることはできない!」 こう考えたとき「若さの驕り」が消え失せてしまいました。 「今の自分には病は関係ないかのように思うが、 誰も病を免れることはできない!」 こう考えたとき「健康の驕り」が消え失せてしまいました。 「今の自分には死は関係ないかのように思うが、 誰も死を免れることはできない!」 こう考えたとき「生きることの驕り」が消え失せてしまいました。 この3つの驕りを比較的に若いうちから知っておくのと知らないのとでは、 自分の人生の価値が全然変わってきてしまいますね。 手探りの人生に明かりを灯すようなものです。 ☆出家の決意 太子は悟りました。 「人間とは、かくもはかない存在である。こうした人間に、 果たして本当の心の安らぎが訪れるのだろうか?」 太子は、老・病・死という、人間の根源的な悩みから解き放たれたい! 人生の真理を求めて、出家することを決意したのでした。 このときシッダールダ太子は29歳。 正妃ヤソーダラに第一子のラーフラが生まれた直後のことだったのでした。 正妃以外にもまだ他にいたわけです。 このラーフラは後に十大弟子の一人になるのですが、 残念なことに夭逝してしまう運命にあります。 ・・・釈尊の生誕と出家(6)へつづく・・・ ☆。.:*:・'゚★。.:*:・'゚☆。.:*:☆。.:*:・'゚★。.:*:・'゚☆。.:*:・'゚★。.:*:・' ジャンル別一覧
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